時をこえて届くあの頃からの贈りもの。儚いけれど、揺るぎない―「家族」という絆。
デブねこの赤い首輪にはさんだ手紙がつなぐ、ぼくとタカキの友情(「モノレールねこ」)
夫を待つ時間に取り組んだ白いパズルの中に、犬の気配が(「パズルの中の犬」)
家族をいっぺんに失った中学生の私と、ダメ叔父さんの二人暮らし(「マイ・フーリッシュ・アンクル」)
私と偽装結婚したミノさんは、死んだ婚約者がそばにいると信じていた(「シンデレラのお城」)
ロクデナシのクソオヤジに苦しめられてきた俺に、新しい家族ができた(「ポトスの樹」)
会社で、学校で、悩みを抱えた家族の姿を見守るザリガニの俺(「バルタン最期の日」)
この人の書く「日常の謎系ミステリ」は何冊か読んでいたけど、これはまた違った感じの短編集。
どれもベタっぽい展開で(こうなるとわかってるけど泣かせられる)。
ただ、この人の作品は「日常の謎系ミステリ」でもそうだけど単純な「ホノボノ感動話」で終わらずに必ず毒が入っているので、なんとか楽しめた。
ホノボノ話の中にピリッと人の心の闇。
でもやっぱ物足りない。消化不良。ミステリが読みたい。
74点
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